組織が活性化された状態とは、簡単に言うと、大きく2つの現象が生じ、組織としての生産性が高い状態になっていることを言います。

1つは、組織の構成員のベクトルが揃っていること。

2つは、組織の構成員間での意思疎通が容易(コミュニケーションが活発)になっていること。

ここでは、組織の構成員のベクトルが揃っていることについて、説明をします。

組織の構成員のベクトルが揃っている状態として、一般的には、まずは、ミッション・ビジョン・バリューが設定されていること、と言えます。

それぞれの定義は次のようなものです。

・ミッション:会社の使命、達成すべき目的

・ビジョン:将来ありたい姿、未来像

・バリュー:会社の価値基準、行動指針

では、それぞれが定まった状態について見ていきましょう。

ミッション

定義では、会社の使命、達成すべき目的とあります。

また、AIでは、次のように述べられています。

企業におけるミッションとは、企業が社会に対して果たすべき使命や存在意義、あるべき姿などを明文化したものです。企業と社会の関係を示すもので、企業が社会にとって必要不可欠な存在であることを示すために設定されます。

ミッションは、企業の経営活動の軸となる重要な要素で、企業のブランド力を向上させるために策定することが推奨されています。ミッションを掲げることで、組織全体を同じ方向に進ませ、共同体としてのまとまりを作ることができます。

これを読むと、あった方がまし、というよりは、あった方が良い、と思えてきます。

ですが、やっぱり、あった場合とない場合とで、どのような違いがあるのかを確認するために、同一業界の2つの企業の例で示してみます。

<食品・豆腐業界の例>

【相模屋】

おいしいおとうふで 日本の豆腐文化を守り抜き そして その未来をつくりだす。

【アサヒコ(Plant Forward(プラントフォワード)事業)】

手頃で・安心して・美味しく食べられる大豆たんぱく質を提供し、たんぱく質不足による健康リスクを低減する。

この2社を比べると、相模屋さんは、豆腐を「おとうふ」として捉えていることがわかります。一方で、アサヒコさんのプラントフォワード事業では、豆腐を「大豆たんぱく質」として、捉えていることがわかります。

このように、ミッションによって、自社製品(この場合は豆腐)をどのように捉えている(捉えていく)のかを示することで、組織の構成員からすると、「ウチは、豆腐のおいしさを極めていく」とか、「ウチは、大豆たんぱく質の多様性を追求する」などど、ベクトルが揃ってくることがわかります。

このように、ミッションを定めることで、社員の使命、とか、達成すべき目標が揃ってくる、ということをおわかりいただけましたでしょうか。

では、次に、ビジョンについて説明をします。

ビジョン

定義では、将来ありたい姿、未来像とあります。

また、AIでは、次のように述べられています。

企業のビジョンとは、企業が長期的に目指す将来像や目標、理想の姿を指します。企業理念を具体化したもので、企業がいつまでにどういった状態を目指すのかを示したものです。

ビジョンを策定することで、次のようなメリットがあります。

  • 経営者や役員、従業員が企業の目指す姿を明確に理解できるため、同じ目標に向かって業務に取り組むことができる
  • 求職者もその会社が将来的に何を目指しているのかが分かるため、同じような価値観を持つ方により興味を持ってもらいやすくなる
  • ビジョンを軸にした方針や戦略を決める際の基準となり、組織内での意思疎通がスムーズになる
  • 異なる背景や専門知識を持つメンバーが多数いる大きな組織でも、組織内のさまざまな部門やメンバー間で意見や考えが一致する可能性が高まる

ビジョンは、企業のステージや時代に合わせて変えていくもので、経営理念や企業理念と違い、時代の変化とともに定期的に見直す必要があります。ビジョンを決める際には、中長期の目標を定め、現実的に実現度合いの高い目標を掲げることも重要なポイントとなります。

これを読むと、ミッションと同じように、あった方がまし、というよりは、あった方が良い、と思えてきます。ですが、やっぱり、あった場合とない場合とで、どのような違いがあるのかを確認するために、先ほどの同一業界の2つの企業の例で示してみます。

<食品・豆腐業界の例>

【相模屋】

圧倒的。

圧倒的なおいしさの追求、圧倒的なスピード、そして魂のこもったおとうふづくり。

業界トップ企業として、すべてにおいて圧倒的に実現していくことで、おとうふをもっともっとおもしろくし、おとうふのマーケットを広げていきます。

【アサヒコ(Plant Forward(プラントフォワード)事業)】

・豆腐・あげに磨きをかける

・50年培った技術を生かし、日本の食文化に根差したプラントフォワード(植物志向)製品を提案

・豆腐市場を変革するゲーム・チェンジャーの役割

この2社を比べると、相模屋さんは、(業界トップとして)豆腐のマーケットで圧倒的な活動を推進することが、一方、アサヒコさんのプラントフォワード事業では、豆腐市場を変革していく活動を推進していくことが、それぞれ窺えます。

このように、ビジョンによって、具体的な活動の方向性を示すことで、組織の構成員からすると、「おいしさやスピードを極め、魂を込めることで、豆腐市場で圧倒的な活動を実施する」とか、「既存製品に磨きをかけつつ、豆腐市場を変革する活動も行っていく」などと、さらにベクトルが揃ってくることがわかります。

では、次にバリューについてみていきましょう。

バリュー

定義では、会社の価値基準、行動指針とあります。

また、AIでは、次のように述べられています。

企業のバリュー(Value)とは、企業が大切にする価値観や行動指針、判断基準などを指す言葉です。企業のミッションやビジョンを達成するための具体的な行動基準として、企業や従業員が行動を起こす際の指針となります。

バリューは、企業の価値観や行動指針を明文化することで、企業の特性に合わせたチームの協力や相互作用を示す基本的な理念として機能します。強い企業のバリューは、多くの場合、チームメンバーの意見が反映されています。

これを読むと、ミッションやビジョンと同じように、あった方がまし、というよりは、あった方が良い、と思えてきます。ですが、やっぱり、あった場合とない場合とで、どのような違いがあるのかを確認するために、先ほどの同一業界の2つの企業の例で示してみます。

なお、ホームページなどを見る限り、「バリュー」として明文化されたものは確認されませんでしたので、客観的にバリューに相当すると判断されるものを抽出しました。

<食品・豆腐業界の例>

【相模屋】

相模屋のこだわり

・おいしさの追求

・安心・安全の追求

・高品質を安定供給

【アサヒコ(Plant Forward(プラントフォワード)事業)】

たんぱく質ダイバーシティ

・たんぱく質の選択肢を増やす

・メニューの選択肢を増やす

・オケージョンの選択肢を増やす

この2社のバリューに相当するものを確認すると、相模屋さんの組織構成員として「おいしさや、安心・安全、高品質にこだわること」が相模屋さんの製品の価値を高めていく活動であり、アサヒコ(Plant Forward(プラントフォワード)事業)の組織構成員としては、「たんぱく質の多様化を進めること」が、アサヒコさんの製品の価値を高めていく活動であることが、それぞれ見えてくると思います。

このように、ミッション、ビジョン、バリューをそれぞれ明文化することで、組織構成員のベクトルが揃うことが、推定されるかと思います。

もちろん、社員行動指針とか、それぞれの戦略(中期経営計画)などの設定も組織構成員のベクトルを合わせるためには必要ですが、まずは、ミッション、ビジョン、バリューについて、よく必要性を言われるけど、何を言えば良いのかわからない、という声にお応えするために、具体的な例を比較を通して説明しました。

組織が活性化された状態を作るために、組織のベクトルを揃えたい、そのためにも、ビジョン、ミッション、バリューをきちんと定めたい、と思ったら、当社に是非、ご相談ください。